「社会人野球の名選手」といいましても、基本的にいい選手はプロ野球入りしてしまいますので、長く社会人で活躍する選手というのは、ほとんど稀です。その数少ない一人として、野球ファンの皆さんの記憶に残っている選手といえば、「ミスター社会人」「ミスターアマ野球」と呼ばれた杉浦正則投手でしょう。

杉浦正則投手は同志社大学を卒業後、社会人・日本生命に入社。その後引退までの十年間、都市対抗野球に10年連続出場し2回優勝。バルセロナからアトランタ、シドニーまで3大会連続オリンピック出場、オリンピック通算5勝というオリンピック記録も持っています。これだけでもすごい選手だとわかるでしょう。

彼が特別なのは何度もプロ入りの誘いがあったにもかかわらず、オリンピックで日の丸を背負ってプレーすることを目標とするため、社会人野球にこだわり続けたことです。当時ニューヨーク・メッツ監督だったボビー・バレンタインが日本選手権で杉浦のピッチングを目の当たりにし、「来シーズンからメッツで投げて欲しい」と言ったのは有名な話です。それでも彼の気持ちは揺らぎませんでした。

現在は野球ワールドカップの開催や、プロ選手のオリンピック参加など状況が変化したこともあり、社会人にこだわる選手というのは少なくなっているのかもしれません。その意味で杉浦正則投手は最初で最後の「ミスター社会人」といえるかもしれませんね。



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